暖簾について。
 
 
 
■ 誰にでも、お世話になったという方々はいて、勿論私も例外ではない。
 指折り数えると、どうしようもない。
 随分旧聞になるのだが、読売新聞社主催、yominet の責任者であった槲氏(仮名)もその一人である。
 いきさつは様々にあるが、大体のところ、一回は喧嘩をする。
 あのクソジジィとか言って、ことある毎に突っかっていた。
 
 
 
■ あるとき、私のIDがネット上で受け付けないことがあった。
 過激なことを書いていたから、とうとうIDを削除されてしまったのかとビビッた。
「けっ、キンタマの陰干しでもしていた方がマシだよなあ」
 とか、数日前に書いていたからである。
 屋上か何処かで、皺の各部分を日光にあててやるという風情か。
 だが、IDを削除されるのはなんとなく困る。
 致し方なく、数日悩んだ末、読売新聞社の当該部署に電話をかけた。
 
 
 
■ いつもお世話になっております。
 問題発言があったものですからIDがハクダツされてしまったのですか。
 おずおずと尋ねる。
 電話口で槲氏は声をあげて笑い、いやいや、そんなことをする訳はないですよ。
 でもですね、こーいちさん、陰干しはその通りですが、公の場ではいかがなものか。
 誠にごもっともなお話で、私は汗をかきながら電話口に向かって頭を上下していた。
 当時、私は、こーいちさんと呼ばれていたのだ。
 平仮名で。