ハロー王さん。
 
 
 
■ 青い背広で南京街を -
 この歌は、服部良一さんが作曲、吉川静夫さん作詞。
 良一さんの妹、服部富子さんが歌っている。
「バイバイ上海」という歌も同時期にあった。
 どういったらいいか、裏声と強いパーマネント、我が国にとって上海が一番身近な異国であった時代の、港に咲いた芙蓉の花のような歌たちである。
 
 
 
■ モダンガールと上海。
 ある意味で、大正期から昭和の始めの銀座界隈、その延長線上に上海はあった。
 カフェ、女給。例えば今はやや高級なセレクトショップになっている銀座交詢社。
 そのすこし向かい側の路地に、地下に降りてゆく中華の店がある。
 あるときそこで食事をしていると、大きな声で「ワンワン」と聞こえてくる。
 誰かが鳴きまねをしているのかと思ったが、それが、知人の名を呼んでいるのだと気づくのに暫くかかり、苦笑いをしたこともある。