雨だれ。
 
 
 
■ 台風が近いのだという。
 近いというよりも、そこに来ているのだと聞いた。
 私は、昨日車を洗車してもらい、わずか6時間しかもたなかった。
 雨が近づくと洗いたくなる。
 
 
 
■ 最近の五木寛之さんのものをほとんど読んでいないが、五木さんには車にまつわる随筆や短編が多くある。
 矢作さんほどマニアックになる手前、車を女や仕事と絡めて描くのが旨かった。
 一時私は、サーブの9-3を物色していたことがあって、西武が輸入していた頃の五木さんのCGの広告などを思い出していた。
 9-3は、ナイン・スリーと読む。
 そう読んで貰いたいらしく、屈折したスノッブの具合が今だかつて継続しているのが面白く思える。
 
 
 
■ あるとき、高速のパーキングに入る。
 ラップの格好をした自分ではヒスパニックであると考えている確かに日本人の若者が、四人、紺色のサーブから降りてきた。
 これは低圧ターボの方だろうか。アルミで年式が分かる。00か01ほど。
 9-3で四人というのはややキツイ。
 彼らは車を買った後のドライブであろうかと思われた。
 私が9-3を物色していたのは昨年夏頃だった。
 今までアウディのA4や6を扱っていた店がそちらに乗り換える。試乗すると、欧州車の常で出足の数十メートルは遅い。
 そんなことを思い出しながら、あっという間に消費されてしまうのだなと、その時に突っ込まなくて良かったと考えていた。