雨の上海。
 
 
 
■ 成田の駐車料金が下がっている。
 であるから、車でいっても、それを暫く置きっぱなしにしても、そう問題はないということになる。
 男数人で、私たちは上海へと向かった。
 
 
 
■ と、旅行記を書いても本人以外にあまり意味はない。
 何を食べたとか、どこへ行ったとか、緩やかな自慢でしかないのだが、忙しがることもまた同じである。
 パスポートの空欄がないと言い合う。ゴルフのスコアにも似て、そのくせ中古クラブの店舗を覗いたりして、聞け、わだつみの声。
 
 
 
■ 上海は暫く雨であった。
 ほぼ、土砂降りと言ってもいい時間帯が暫く続き、空港からの若い運転手は、我が国で言えば地方の専門学校を出て違う仕事についている実は家庭持ちのような顔付で、SANTANAのマニュアルを駆っている。横顔が甘い。
 フォルクスワーゲンのパサート、暫くは日本でも作っていたが、典型的なドイツ車の足回りのタクシーは、背後に「上海」というプラスチックのバッチをつけ、1.8リッターで加速してゆく。
 運転する彼と私との間には、ステンレスのパイプがあり、分厚いアクリル板で身体的交流があらかじめ防止されていた。