外灘(バンド)。
 
 
 
■ 仕事で上海に再びゆくことになった。
 いわゆる撮影が主ではない。
 拙作「夜の魚」は全部で三部あって、三部はまだ未完である。
 二部の舞台が、上海。「夜の魚 外灘」という題名だった。
 1990年代の前半。電子塔ができたかできないかという頃合、我が国では臨海副都心がまだ建設中だった時代を背景にしている。執筆もその当時だ。
 
 
 
■ その二部を緑坂に掲載すべきかどうか、すこしだけ迷っている。
 一部とはまた異なり、どちらかといえば軽ハードボイルドというジャンルの作品だからだ。
 作家・小嵐先生は「戦車が出てくるのがなあ」とか葉書に書かれてきた。
 どうもすいません、楽しんで書いたもので。
 
 
 
■ いずれにしても、物語というのはフィクションである。
 今、もう一度書けと言われれば、もうすこし小説らしいものは書けるのだろうが、例えば「夜の魚 一部」のような文体はできそうにない。
 テーマそれ自体も、少しずつ変わるのだろうと思っている。