雨情。
 
 
 
■ 長い会合のあと、すこし歩いた。
 芝公園の界隈を歩く。
 まだ立体になっていない駐車場のある、やや古いホテルで最後に一杯と思ったが、十二時を過ぎていたので入れなかった。
 虎ノ門までゆこうとも思わない。
 
 
 
■ 私は皮底の靴を履いていた。
 肩からタムラックのカメラバックをぶら下げている。
 会合のあいま、三時間で350枚ほどを撮ったのだが、ほぼこれはカメラテストにも似ていた。秒8枚というカメラがあってもいいのかな、とも一瞬は思う。
 
 
 
■ そんなことは関係がなく、雨に東京タワーが煙っている。
 雨に濡れながら、手持ちでそれを撮りながら歩く。
 田宮二郎が若い頃、警邏の警官役で出演したのがそこにある交番で、バスガールと恋に落ちるお話だったともいう。