指揮者の横顔 2.
■ 実をいうと私は、人物撮影というのがあまり得意ではない。
女性を綺麗に撮ろうというモチベーションが乏しいことが発端だが、では男性はどうかというと、分かりやすい格好よさというものが未だに理解できないところもある。
■ そんな私に依頼がきたのは、単に人がいなかったからなのだが、かつて世話になったADの方に頼まれると、そこは仁義を通すのがこの世界の筋である。
私は前日に洗車をしておいたが、そうなると雨になった。
■ 井上さんがご自分の若かった頃の写真を見せ、大友さんと笑っている。
この時は長髪でね、と、そのまま当時の平凡パンチに載っていてもおかしくはない格好の良さであった。しかるに大友さんも、よく磨かれたコードバンの先の細い靴を履き、既にして大家の風貌を呈している。
私は離れたところにあるソファに両肘をつき、お二方の横顔を狙った。
二時間ばかりで300-400枚というのは多いような気もするが、ISO800であっても1/8程のシャッター速度であるから、中には流れているのものが多くある。
ポジは結構厳しいだろう。
後でADの方にぶうぶう言われないことを祈っている。