花にまだ雨。
 
 
 
■ たまにJRなどに乗ると、カメラバックを持ったひとたちが目に付く。
 桜の季節だからだが、ひとりはご老人で、ベストにハンチング姿だった。
 ひとりは目を瞑って寝ている30代後半からの屈強な男で、彼は無精髭に白いTシャツを着ていた。髪の真ん中は比較的薄い。
 彼は国産の大型カメラバックを持っていた。私も型番の違うものを使っているので、すぐに分かった。
 中は機材で溢れているのだろう。
 
 
 
■ 花を追うようにして愛好家が集まる。
 私はといえば、今年も桜を撮らなかった。
 捻くれているからだが、ひとの居るところで桜というのは、どうも違うような気がしている。