遠桜。
 
 
 
■ あたしはなんにもしたくない。
 とブツブツ言いながら仕事をしていた。
 眠りが足りていないので身体が重い。
 仕事場から見える庭には、数本のソメイヨシノが満開である。
 茶などたてているひともいる。
 すこし風が強い。
 
 
 
■ 桜というのは遠目に限ると私は思っているので、なるべく側にはよらない。
 別のことを考えてしまうからだ。
 それが何であるのか、机の上が運ばれた細かな土でざらりとしている。