トリック・スター。
 
 
 
■ という心理学や精神医学の分野での用語がある。
 あまり無意識だの集合的なんとかとかを言い出すと、結局は民族意識とか天皇制とかに流れてゆきやすくなるので避けるが、つまりは変化の触媒になるための存在である。
 社会的なトリックスターというものが仮にあるのだとして、例えば敗戦直後の「光クラブ」という事件を、私はここ数年時々思い出している。
 面倒なので解説はしない。
 価値観が混乱している時代に、鬱積した心情を抱いた多くの人たちからは、ある種英雄に視えてゆくのである。