二月の味気なさ。
 
 
 
■ 二月は毎年味気ない。
 春を待つあいだ、地を這うような地味な日常が続く。
 それはほぼ冬の朝までの仕事だったり、複数台のPCの再構築だったりもする。
 仕事場にブラインドかスクリーンを入れようと、昨年の秋、銀座のショールームにいった。実際の色と素材を確かめるためである。
 名刺を渡すと、倉庫の奥から分厚い見本をもってきてくれた。
 それを分けてもらい、礼を言って外に出る。
 すぐ近くの資生堂パーラーの下で、お世話になった方へ送る小物を買ってから戻った。 確か雨が降っていて、車を洗わないでよかったなと思った記憶がある。
 
 
 
■ とあるポータル・サイトで、ネットショップ、つまりECの構築とデザインを担当していた。CGIのカラクリに制約があり、通常の作り方はできない。
 初心者向けであるというWebオーサリングツールを用い、HTMLの簡単なタグを書く。
 いわゆるプロ用のツールを使わないのは、クライアントがこれから、そう予算をかけないで更新できるようにするためである。クライアントのシステムの再構築も行う。
 デザインの要は、ロゴなどの部品の精度であるが、それについては印刷に用いられているフォントなどを使うことにしていた。
 
 
 
■ デザインというのは、あまり好きな言葉ではないがコンサルティングの要素を含んでいる。ここ数年、技術の敷居が一見低くなったように見える。
 それは時代の流れであって、これからも加速するものだけれども、では世の中をどう眺めてゆくかというような問いは、一層難しくもなっているように思う。
 プロは道具を使うけれども、同時にその道具を相対化して、社会の中に位置付けてもいるのではなかろうか。