星より秘そかに。
 
 
 
■ 密かという字であったか、確認していないので不分明である。
 地下駐車場から車を出し、シャッターが上がるまでにその曲になった。
 川口の鋳物工場で働く若者達が題材になった映画である。
 小百合さんはややふっくらしていた。
 
 
 
■ 日本が高度成長にさしかかる頃合、私などは少年期を過ごしている。
 国産3リッターのセダンに乗って、これから煙草を買いにゆこうとする。
 200とか250PSとかいうのは、要は過剰な訳だが、その過剰さに慣れて次にゆこうともする。
 ローマクラブの「成長の限界」が出たのは今から30年近く前だが、人はそれを回避する術を覚えた。有体に言えば、南の世界を切り捨てることによってである。
 それと似たことが、今日本の社会の中で起こっている。
 毎日が戦争であるかのような、明日は私も君も不要とされる時代。
 壮大な消耗戦を生き延びるのは誰なのかというと、今のところなんとも言えないというのが正直な感想になるだろうか。
 と、ここで感傷的になると、島コーサクを描いている方の漫画の裏返しになるだけなのでそれは避けたい。