夢の日 3.
 
 
 
■ 随分と前のことだ。
 昼間適当に繁華街を歩いていると、声をかけられる。
 髪のやや赤い女が手を振り、大きな声でこちらに向かってくる。
 
 
 
■ 彼女は駅前に小さな店を出した。
 半年前くらいだったろうか、私は友人と奮発してボトルを入れた。
 友人は真面目な公務員で、ただ酒が好きな奴だった。
 お世話になったから、開店にはゆかないとな。
 そこでサントリーを入れた訳である。
 何度も閉店後、ラーメンを奢ってもらった。
 
 
 
■ 昼日中、やや赤い髪をした年上の女が自分の名を呼んでこちらに迫ってくる事態は、近くにあるバス停の市民の方々には違う世界に視えたのかも知れない。
 私はどぎまぎして、充分な受け答えができなかった。
 またきてね、というだけなのだが。
 彼女の店があるのかどうか、子供は卒業できたのか。
 男の未熟さというのは、救いがないような気がしている。