夢の日 2.
■ 銀座へ自腹でゆくことはできないが、それでも何度か連れてゆかれた。
ママが前に新橋で永くやっていたというようなところで、ほぼ同窓会である。
私はお供というか鞄持ちなのだが、初めからここはご馳走になるということが分かっている場で、その所作は厄介である。
左右に肩の辺りが寒いだろうドレスを着たお姐さん方が座る。
実は彼女達は昼間のお勤めもある。
■ 歌え、と言われ、ボカアいいですとは言えない。
仕方なく「錆びたナイフ」など、高度成長期前夜の歌を選ぶのだが、この辺り北千住と変わらない。
一応私は写真家なので、偉いさんが歌っているところなどをネガで撮る。
後からその扱いには困った。
■ 烏森口から先はまた別。
というのが新橋の掟であったという。
一理はあるので、ゆるゆる歩いて金春通を過ぎる。
風呂屋があって、カリントウ屋もある。
角の寿司屋は最近本を出した。