道行。
■ 国道に面したところに急な階段の神社があって、その人造の山のようなところを巡ると道標があった。
「道行」
と彫ってある。
うまりは、品川宿の女郎達が心中をはかり、無縁仏になったものを祀る石碑である。
人造の山は、巡礼を模したものらしい。
■ 正確に言うと品川の女郎は、飯盛女であって、吉原のそれとは区別された。
何時だったか、川崎の堀之内、その界隈でラーメンを食べていた。
店を出て歩くと、小さな神社のようなものがあり、エルメスだかを着たお姐さんがひとりお参りをしているのを見かけた。
彼女が頭を下げているのは、宿場の女たちが祀られた祠である。
悪い子ではないな、と思いながら、その後ろ姿を見ていた。
いつか会えるのかと思ったが、川崎からは足が遠のいている。