ひとがみな忘れた道。
 
 
 
■ PCに作業をさせながら、HDDの中のテキストを検索してみるとこんなものがでてきた。
 98年の青瓶である。初稿は yominet.
 
    イブのジャガー。
 
 
 
■ 今夜は三日月だった。
 女を降ろしてから、環七を下った。
 荒れたトラックの群れが仮眠なしで走っている。これが高速にゆくと140程度でコンボイを組む。
 
 
 
■ イブの夜に女と別れたことがあった。
 まだ橋ができたばかりの頃で、芝浦の倉庫脇でその話をした。
 横顔は美しかったかといえば、覚えていない。
 
 
 
■ 欲しいものはわたしだけのものなの。
 彼女はそういって掌に入る男をみつけた。
 三年暮らし、不倫をし、その後大手マスコミの年上をみつけた。
 子供も大きくなる。
 駐車場に車を入れ、近道をする。
 マンションの敷地内を通って歩く。
 いくつかの星が見えている。風が強かったからだ。
 赤茶けたジャガーが停まっていて、表面は冷えた色をしている。