悪いが降りる 2.
 
 
 
■ 交差点のところで事故をみた。
 タクシーが一台、その後ろに黒い新型のシーマが頓挫している。
 脇には原付か小型か、冬の冷たいアスファルトに横たわっているのは、砕けたカウルのライダーである。
 何人かが傍により、彼か彼女の安否を気遣っていた。
 
 
 
■ 君はプロだろう。
 と、言いたくなることが時々ある。
 ここ数年それが激しい。
 この国から職人のプライドが暫く薄れ、時給で価値を計るようになって久しい。
 車の運転手はふたり、自分の車の傷跡だけをみていた。