木枯黒ビール。
 
 
 
■ 雲が急いで流れていた。
 信号待ちのあいだでも。
 私の車は汚れていて、前の席のマットには枯葉が何枚も転がっている。
 山越えをしてきたままだからだが、暫く洗わなくてもいいだろうとそのままにした。
 あるホテルの入り口に停めると、心なしか冷たい態度で接してくる。
 ベントレーの隣だったからかも知れない。
 
 
 
■ 仕事場を暖め、黒いビールを飲んでいる。
 喉の腫れに少ししみる。
 都会はコートを着たひとの姿が目立った。