流れ流れて東京の。
 
 
 
■ 映画と監督自身の話はともかく、この歌は時折口をつく。
 上等じゃねえか、という眼をしたいときの前奏曲になる。
 私はスクーターの若者に声をかけられた。
 すいませんが、六本木はどっちですか。
 彼は半キャップを被って、練馬から出てきた。
 ここを戻ってすぐだよ、行ってもどうってことないぜ。
 その少年はにやりと笑う。