生も一時の位なり。
 
 
 
■ これは、敦盛の謡の一節だと記憶している。
 信長が好んで舞ったのだと、十代の頃、安吾の作品で読んだ。
 一度生を受け、滅せぬもののあるべきか。
 
 
 
■ 数日前の緑坂に私は「廃墟論」という題を用いた。
 観念でそれを言うことと、実際に体験することとは違っていて、何かを表現する際にはその断層に注意しなければならないと考えている。