騙されてもいいか。
 
 
 
■ 時々、そんな気分になることがある。
 ここでこうなって、これがこうして、とカラクリが皆見えてしまったかのような、そんな段階もあったのだけれども。
 そればかりでは、なにひとつ無駄なことができなくなっていった。
 ここは負けておいてもいいのかな。
 
 
 
■ 都心の古いホテルのシガー・ルームに入った。
 ダビドフの葉巻を一本買う。
 吸い口をやや深めにカットしてもらい、セロファンの中にしまった。
 いつ吸うのか分からないでいる。