雨の革底。
 
 
 
■ 十月になって雨が続く。
 昨日会合にゆくため、夏の上着を羽織って外に出たら寒かった。
 相物というのか、紺色のそれにとりかえに戻る。
 下駄箱の中から、暫く履いていない革底の靴を選んだ。
 
 
 
■ 小雨降る坂道を下りながら、深町丈太郎の台詞を思い出していた。
「蝙蝠傘を買いたくなったら探偵をやめよう」
 私も傘が嫌いである。
 理由はよく分からないでいる。