退屈な大人の遊び。
■ 社会的な影響というものがあるので、ここで具体的なことは書かない。
昔坂には、あれこれが載っているが、いずれにしてもそれは昔のお話である。
六本木のホテルで、ロースト・ビーフを大量に頬張った。
大きな皿に盛られると、ありがたい感じがしないが、これは結構お高いものである。
昔の不摂生と喧嘩などのために、私の奥歯は片方が欠けている。
それでも喰えるのだから、どうにかなるものだと思う。
■ 青年期の一時、ロースト・ビーフをしげしげと眺めていて、厭世的な気分になることがあった。これに似たようなもののために、愛だの恋だのとなにものかを無駄にしている。トマト・ジュースと並べられたら神経に堪える。にがりを垂らしたとしてもだ。
と、そう思うのは、既にして中年に傾いていたからで、それまでに何度か愛は世界を滅ぼしていた。