半月と雲。
 
 
 
■ 仕事場から月がみえる。
 幾層もの雲があって、月は隠れたり光ったりする。
 せんだって人を待つあいだ、鈴木大拙の「禅と日本文化」という本を読み返していた。 茶であるとか歌であるとか、その根本にあるなにか欠けた感じ。
 うつろうものへの偏愛ともいうべき感情。
 大拙の言葉をそのまま鵜呑みにするには歳を取りすぎたが、ガラス窓に斜めに雨の筋が入るのを眺めている。