新しい石鹸 5.
■ こうした仕事をしていると、誰かに作品を誉められるということが、かなりの励みになっている。
同業者ではなく、編集者でもなく、ごく普通の方々。
いわゆる市民社会というものが仮にあったとして、そこに根を降ろしている方々。
その人たちに、個人としての感想を漏らされるのが一番心に残るものである。
■ ああ、でもやっぱり「新しい石鹸」なんだな。
と、思った訳ですよ。
と、部長(当時)は言っていた。
男だけに分かる文法というものがあるのだとして、それは斜に構えたハード・ボイルドもどきとは異なっている。
背後には厄介で面妖な、組織というものがあるからだ。