わが復員。
 
 
 
■ 先の「野火」は、青瓶MM No.48 号(2003年9月26日号)に掲載したものである。
 この後、「わが復員」と題した青瓶が続く。
 バックナンバーを辿ってみてください。
 
 
 
■ 先の青瓶に「文学や小説はある程度難解である」と書いたが、これについて、青瓶の常連投稿者の方から異論が出たことを覚えている。
 氏のいわんとすることもモットモなので、そうだよねと答えたが、ここで考えが遠方に及ぶ。
 つまり、吉田健一氏が指摘するように、知識人というものが果たして現代、その言葉通りに定義されるものだろうかということである。
 この辺り、書き始めると長くなるので割愛。
 
 
 
■ 最強伝説「黒岩」という漫画がある。
「アカギ」とか「天」を描いた方の手になる。
 黒岩の第一巻、そのイントロを読んだとき、これは優れた小説の出だしではないかと、少なからず驚いたことを覚えている。
 何ものを生み出すこともなく、ただ歳を重ねた中年独身男。
 土木建設作業員。
 黙々と安全棒を振る「太郎」という人形。
 漫画というメディアの故か、読者層を想定してのことか、かなりモノローグがくどいことが気になるものの、主人公は過剰とも言える自意識を持ち、廻りと自分とを相対化しようとしていた。
 その間での「齟齬と脱出の物語」がおそらくはテーマになっている。
 ここで何が言いたいかというと、つまり上に書いたことのネガであろうか。