夏の闇について。
 
 
 
■ 蝉の声がする。
 ほぼ一日中していて、背の高い銀杏の樹が影になっている。
 HDDにエラーがみつかり、再び chkdsk /r をかけていた。
 データのサイズが大きいもので、これはこれでやむを得ない。
 待つ間に緑坂を書く。
 
 
 
■ 先月、まだ梅雨の最中「ニューヨーカー短編集」を読んでいた。
 確か三冊あるというが、手に入ったのは一番最初のものである。
 アーウィン・ショーの「夏服を着た女たち」(常盤新平訳)が、もっともそれらしく、タバコ・ロードの作者の小品などは、少しばかり異質にもみえてしまう。
 これから80年代だという不定形なその頃、NYの短編集はよく売れた。
 ブルックリン出身の作家などが、いずれその列に加わった。
 村上春樹によって、フィッツジェラルドなどが紹介されたのも確かそんな頃合いで、定かには覚えていないのだが、「僕達はもうこれ以上のところはないんだ」というような台詞が記憶に残っている。
 そして、見事にそのとおりになった。