街灯の下あたりで。
 
 
 
■ 男の連れと暫く歩いた。
 別れてから、カメラバックのライカにフィルムを通す。
 裏蓋を落とさないよう、指にはさみながら。街灯の下あたりで。
 露出計を持たないので、ポジは使えない。
 使ったとしても、この暗さでは息をとめるのがむつかしい。
 
 
 
■ 若者の街と言われるところを歩くと、私は既に現役ではないのだという気がした。
 だが、それが寂しいとは感じない。
 交差点で警官が、無線で応援を呼んでいた。
 その隣で、国産の大型ワンボックスが、TVをつけていた。
 青山で地下に降り、一杯を嘗める。
 バーテンは若い。酒の薀蓄を語ろうとする。