バンド。
■ 水の古くなった匂いがする横浜が好きだった。
車を駐めておくと、綺麗にアンテナが盗まれたりした。
海岸通り、シュラのワックスをかけたばかりの紺色のセダンで、ちょっとばかり粋がっていると、五分の間にタイヤをやられた。
ナンバーが気に入らなかったんだと今は分かる。
■ 排他的であることで何かを護ろうとする。
それはブランド戦略の基本である。
けれども、足元から崩されるのも常であって、かつて進駐軍のサージェント・クラスが女連れで泊まったというバンド・ホテルは、チェーンのディスカウントに替わった。
同じ頃、ニュー・グランドの喫茶室が、ファミレスと変わりがなくなってもいる。