簡単にいえばそう時間がある訳でもない。
 
 
 
■ チャンドラーの言葉にこんなものがあるという。
「おやすみ、さよなら。おれは死んでもおまえにはなりたくないね」
 
 
 
■ おれを私と訳すべきか、原文がどうなっているのか知らない。
 アルコール中毒で死んだ作家にふさわしい、身も蓋もない台詞である。
 わが国にはチャンドラリアンと呼ばれる信奉者がいて、いわゆるハードボイルドと言えば彼の作品を指すことになっているのだが、さておき。
 自己憐憫とプライドのバランスが崩れたとき、男はどうするのだと考えた。