風のいたらなさ。
■ 除湿機が唸っている。
一台はまだ新しく、もう一台はすこしだけ。
私は仕事場から暗い庭を眺めていた。
カーテンを空けている窓がある。机に誰かの影がみえる。
ここは確か、開高健さんが常宿にしていた部屋ではなかったか。
葉山から出てきて、このホテルの同じ部屋に泊まっていた。
あの方も、ひとつの時代と舞台というものの中で、綱渡りをされていたのだと分かる。 作家の家族の顛末をどこかで知ると、何故だろう、胸が痛むことが多い。
■ 書くということは、どこかで毒を含んでいる。
書くだけではなく、全ての表現にはそういう側面があると私は考えている。
一方で戦争をしながら、こちらではCSSのことなどを考え、コンビニで釣銭を募金したりもする。どう使われているのか、概要すら知らない。
そういった時代の表現とは何か、ということを考えるのが一方で現代美術のひとつの流れでもあったのだけれども、それも余裕があるからできるのだと言われた。