菜種梅雨 4.
 
 
 
■ 東京という街は、部分的にはある種NYのようなものだ。
 シカゴともLAとも違っている。
 それでいて、その成り立ちはNYとはまるきり違っている。
 それは日本という国の近代化の過程が、そのようなものだったからだと解釈をしている。
 
 
 
■ 日吉坂の辺りをうろうろしていると、妙にガンを飛ばされる。
 寝癖を立て、折り目のない綿パンで煙草を買いにゆこうとしているからだろうが、そう睨まなくたっていいじゃないか、と時折は思う。
 多分、あなたはこの辺りに相応しくない、ということを暗黙に示唆しているのだろう。
 安い狐のような顔をして、歩きながら携帯を頬にあてていた。