彼女の硬い椅子。
 
 
 
■ 屋根のついたバス停に、ビニールを束ねた車が置いてある。
 誰かが座りながら頭を下にして眠っている。
 梅雨時期だというのに、キャメル色のセーターを着ていた。
 白髪を束ねていて、多分女性であろうかと思われた。
 
 
 
■ 特別な感慨はなく、どうしてもその横を通り過ぎる。
 昔は綺麗だったという家のないひとを何人かみたことがあった。