目玉 4.
 
 
 
■ 写真家の木村伊兵衛さんは、確か歌舞伎の舞台をライカで撮っている。
 何時だったかそれを眺めた時の記憶では、件のレンズらしい甘い描写だった。そこが味と言えないこともない。
 ISOの感度も低く、暗い舞台では撮りにくかったのではないかと思う。
 ただ、ライカのシャッター音は伝統的にささやくかのようで、仮に楽屋で役者さんの傍に寄っていってもそう失礼にはならないかのように思える。
 
 
 
■ 私は長いレンズに一眼だったので、防音とされる市販の用品を使ってはいたが全く足りない。連射をすると、ほとんど攻撃的ですらある。
 よって、ある場面では撮影しないことにしたのだった。