上野発の夜行列車。
 
 
 
■ 遠野物語の関連を手繰っていくと、ちょっとばかり辛くなる。
 緑坂 5312で引用させていただいた岩本氏(当時山形大教授)の「明治以降の日本の近代化が、どのようなものであったか」という指摘は、誰にも覚えがある。
 地方から上京した彼彼女らが、再び戻り、そこでどう凌いでいくのか。
 江戸であれ都であれ、一時遊学した彼らという構造は、例えば漱石でも石原莞爾でもいわゆる洋行帰りと基本的に変わりはない。
 
 
 
■ やや若い頃の五木さんが「津軽海峡冬景色」に触れていて、これは伝統的な演歌のリズムではないとマルクス主義哲学者を相手に熱弁を振るっていたことを覚えている。
 う、え、の、はつの、や、こ、う、れっしゃ、おりた、とき、から。
 という按配だろうか。
 この対談集は70年代後半から80年代にかけて、新入学生の半ばバイブルだったというのだからご時世である。
 構造主義とか、そういったものですね。