乾いた夜 5.
 
 
 
■「池袋と青山は、アラスカとコンゴくらい隔たっている」
 
 
 
■ と書いたのは「真夜中の犬」の作者、ほんまりうさんと関川夏央さんだった。
 名言である。
 関川さんは馬場界隈で教えていたことがあって、かつて関わっていた若い者の何人かがその授業を受けた。
 あ。
 と、廊下で声を出すと睨まれたとかいう。
 あたりめえだ。
 
 
 
■ 私は一般に、若い頃バイクに乗って転んでいた男を信じる。
 いい気になってこの季節に跨っていると、喫茶店に入ろうと階段を昇る時、がくりと膝が笑うのである。