■ 銃身の下に丸いバレルがついているライフルが一丁入っていた。グレネードランチャーだろう。その下にマガジンと箱に入った各種弾薬がある。箱を開くと先端の色が違っている。
「通常は金色のものを使います」
 走羽が銃を取り出した。右側のラッチを押しロックを解除した。バレルを引き、先端が丸くなっている弾を入れてみる。銃を斜めにし撃つ真似をした。
 黒いナイロンザックの中に髪の短い若い男が弾の詰まった箱を入れた。ライフルのマガジンもベルトのようなものに挟んだ。
 吉川の携帯電話から連絡が入った。葉子が出る。先にいっててくれ、とのことだ。奴は何をしているのか。
 私たちは薄いコーヒーを飲んでケブラーのチョッキを着込んだ。
 葉子が着替えのため上に昇った。
 真壁がこのビルの外で待機している。葉子が白いFFのバンで真壁を拾うという手筈にした。
 私たちは小型無線機の周波数を定めたものに合わせた。警官がしているように肩口にベルトで止めた。上着の下に黒いナイロンのマガジンベルトを締める。
 開封していないダンボールの箱は走羽のバンに積まれた。地雷の使い方など説明されてもどうせわからないのだ。問題はジャム、弾詰まりがないように祈ることと、ゆっくり正確に撃つことだ。
 
「銃の練習をしませんでしたね」
 走羽が横顔のまま言った。
 私は、どうしてこんなに組織的なのだと尋ねてみた。
「アフガンにいたことがあるんですよ。彼もね」
 十一時が過ぎ、車に乗り込んだ。
 先に張り込むことにする。
 
 
○「夜の魚」外灘 D-了