肩口 2.
 
 
 
■ 日本には転向問題というのは存在しなかった。
 あったのは転職問題である。
 
 と、看過したのは、平岡正明さんであったという。
 古本屋で求めた「昭和史探訪 2 日中戦争」(角川書店版:三國一郎 井田麟太郎編)を眺めていて、そんなことを思い出した。
 獄中転向の第一人者、鍋島貞親氏の言い分を、すこし白けた気分で読む。
 よど号で渡ったかつての闘志が、どのように主体的に推移・変節していったかというドキュメンタリー「宿命」(高沢皓司著:新潮社)とどこか似た匂いをかぐ。
 島耕作とよど号は、ある種、裏と表ではないかという気分を私は持っている。