灰色の瞳。
■ 17歳の頃、オートバイに乗っていた。
ジェット型のヘルメットに、ジョルジュ・ムスタキの歌の歌詞をマジックで描いてそれを模様にする。今で言えばタイポ・グラフィである。
何故かは知らぬがフランス語で、アポストロフィの位置が格好よく思えた。
勿論、読めはしない。
■ 工業に通っていた中学時代の連れが、ヘルを貸してくれと言ってきた。
奴はZ2に乗っている。2,3日してからヘルは戻ってくる。
暫くしてから、何時もゆく溜まり場の公園で、奴が女を連れてきていた。
商業の女である。
彼女が被っているヘルには、ムスタキの歌詞がマジックで描かれていた。