愛は、新しい虫。
 
 
 
■ なんでキャベツなんだ、と何度か聞かれた。
 この作品も、セイコーエプソンの連作広告で用いられた。
 担当は髭を生やした彼であって、その頃彼は本社のある長野にいた。
 
 
 
■ 私は夏の終わりか秋の半ば、女のマンションを出てすこし走った。
 道端にキャベツの畑がある。普段見ているものよりも色が濃いそれである。
 愛というのは、身体の中に虫を飼うことのようで、それが蠢いたり悪さをしたりもする。
 
 
 
■ 本作はプロのカメラマンや30代、40代の男性に評判が悪かった。
 こんなもの、という声を知人から直接貰ったこともある。
 ところがその配偶者が、ひときわ高い声で騒いでいたりする。
 そうなのよ、虫なのよ。
 彼女は暫くして子供を産んだ。