君の胸の先の音。
 
 
 
■ 緑坂には眼に星シリーズというものがある。
 いい歳をしてヨクこんなものが書けるな、という代物である。
 嘘つきは広告屋のはじまり、という言葉があるが、結局は引き出しの中から引っ張り出してくるに過ぎない。
 本当にそう思っていた頃は言語化できなかったのである。
 
 
 
■ 環七を下っていると、隣に大型のトレーラが並ぶ。
 車線は狭くなって、思わずにアクセルを放しそうになる。
 トレーラ左にある、軽油タンクの辺りをちらりと眺めながら、まるきり別のことを考えている。
 コンフォートのタクシーの運転が下手だ。