ドリームランド 2.
■ 夜の遊園地で、低い台の上に上り、何事かを叫んでる男がいる。
彼はマーケティングを専門とする50代の後半。
隣には40代の勤め人がいる。
やや若手の30代の彼は、懸命にビラを配ってから演説をする。
対人関係に神経を配るのが得意だというシナリオライターの40男もいた。
笑うことの効用で、痩せた身体を隙間にもぐらせる。
■ 彼らはニューヨークから地下鉄に乗ってやってくる。
傍には人工の海があり、15セントのホットドックをほうばってから今日の演説の準備をする。
演説の後の一杯が彼らの楽しみである。
今日のはよかった、観客が何人いた。最近は動員数が減っている。
モンローに似せた化粧の女が傍によってささやく。
あなたは新聞記者になるといいわ。
あなたの誠実さは、今の社会には決定的に足りないものだわ。
ママ、僕は褒められた。
ママ、僕はハリウッドから呼ばれている。
■ 夜の遊園地で。
そこでは誰もが、なにものかになれる。
向こうで燃えているのは、芝居小屋への付け火の跡だ。