無駄な日。
 
 
 
■ あるとき車を拾い、虎ノ門のホテルのロビーでぼけーっとしていた。
 灰皿がある一角は隅にあり、またいい灰皿を使っているのだが、30代の頃のようにひとつもらって帰るということはしない。
 ボーイがバケツを持って灰皿を洗いにくる。
 高校を出てすぐにこの世界に入ったかのような、横顔が幼い。
 なんとなく済まない気分になってバーへ入ってゆく。
 
 
 
■ 手持ちの金はそうないのだが、まあいいだろうという按配で一杯を飲む。
 スコッチ一杯よりも高い葉巻などを買って、カットしてもらう。
 カットには二種類あって、モチがいいものとそうでもないものとがある。
 どちらにしますか、と妙齢が尋ねるのだが、どちらでもいいような気がする。
 で、カウンターで、なんとなくツマラナイなという顔をして実際つまらない訳である。