冬の人魚 3.
■ いつだったか、氷雨の頃、港に入っていった。
夕方近くになった頃で、黄色い水銀灯が何本か立っている。
私は安物の雨避けを羽織り、カメラを手に持っている。
■ 港を警備している。
彼は漁師で、自転車に乗って小屋にきている。
なにしてんだ、おまえは。
のような顔をしてこちらを眺めている。
■ なにしているって訳でもないんですけどね。
雨で写真撮れるの。
撮れないでしょうね。
何処からきたのよ。
煙草を吸い、茶を貰う。
それで食えるのけ。
いや、なかなかどうして。
あの親父は元気か。