かなかな。
■ 四十をすこし過ぎた男が一曲歌った。
青いワイシャツに赤系統のタイを締め、彫りの深い顔立ちをしている。
若い頃、それなりであっただろうと思われる。
頭がまだらに薄く、短く刈り上げてもいた。
■ 彼は証券から外資系にいって、その外資はあっという間に日本を撤退した。
その頃、離婚をして子供を取り合った。
今、地元で五十人ばかりの企業で営業をしている。
暫く隣で話していたが、大学はどこだったかなどということは話題にはならない。
自分は今、そうなんですよね、と何度か繰り返している。