恋文。
■ ともあれ、するすると二ヶ月が過ぎた。
夏だった頃の焦らされるような思いは消えて、ススキの原を通り、何もない、遠くまで見通せる冬が近づいている。
空は高くなり、空気が次第に尖り始め、街路樹に残る葉の数もそうしたものになってゆく。
枯れ葉は一度に落ちる。
その音を知っていますか。
風が吹く度に、例えば窓を開けていると、ばさばさとその音は聞こえてくる。
■ 先日、上野に行って、夜の路地を歩いた。
「ジュウマイ、センエン」
と、偽のカードが売られていた。
彼らはズルイ眼をしているけれど、彼の地に生まれれば、私もそのようにしていたかも知れない。
■ せんだって、ある読者から、この緑坂がいいという声をもらった。
いつ頃書いたものか、今は思い出せない。