湿度と緑。
 
 
 
■ 杉並の方にある大きな公園で、夜になると制服の警官がその入り口に待っている。
 自転車に乗った少年をつかまえるためだ。
 
 
 
■ 少年の腕はまだ細い。
 始めて自分の才覚で木綿のシャツを買ったのだと思われる。
 Tシャツよりは、ここはバスケのそれだ。
 
 
 
■ 私はすこし音のするエアコンの温度調節をいじりながら信号を待っていた。
 そんなことでめげるな。
 今降っている雨の向こうに、ただの重たい夏が待っている。