アルピナB10.
 
 
 
■ 今私がうろうろしている辺りは、すこし変わった車が多い。
 先日は極めて程度のいいジャガーのXJ-Sの12気筒がいて、思わず足を止めてしまった。
 その近くにはポルシェラインW124の500である。ほぼオリジナルだろうか。
 なんの変哲もない黒いセダンかと思えば、アウディのRS4だったり、コンパーチブルの911だったり、運転席に座られている方はとある雑誌の編集長だった。
 確か特集で964のマニュアルを買われていて、拝見しましたとは言わないでいる。
 洗車して三日後くらいのものである。
 
 
 
■ 坂道を下っていくと、経済新聞の同系の社があるのだが、この辺りだとまた少し違う。先日は山のようなロールスがいて、マイバッハより偉いんだぜと主張していた。
 運転手は黒いスーツの若い男である。額に剃りこみが入っている。
 顔や背で選べば旧ナチの親衛隊みたいでいいだろうに、と私は思った。
 
 
 
■ 米軍ホテルの辺りから、シャコタンの白いカイエンが加速していく。
 ローダウンとも最近は言うのだが、夜目にも目立つ色合いである。
 2トンを超える重量で、ブローバルブの音を後に残しながら広尾方面に曲がるのだが、どうも上海でみたそれを思い出してしまった。
 偏見はよくないな、とそれから反省もするのである。