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緑色の坂の道
■ 「緑色の坂の道」 Art & Literature

緑色の坂の道 Classic
■ 「緑色の坂の道」 Classic


 
    Introduction.
 
 
 
■ 本牧の外れの引込線から右に曲がるとその先は行き止まりだ。
 背の高いコンクリの壁をよじ登ると、黒く粘る海が見える。
 海とはいっても実感はない。薄い雨に雲が浮かんでいた。
 壁の横にぽつりぽつりと車が駐まり、車高を落とした白いセダンのボンネットの上に若い男が座っている。
 光るものを持っていて、近づくと、釣り竿を照らす電灯のようだ。
 伸びかかったパーマの頭を斜めに、バンパーに右足をのせ、考える格好で竿の先を照らしている。
 標識が半分取れかかっていて、「国際埠頭」と書いてある。
 海は見えない。
 音楽もきこえない。
 
>>Sequel to ....


「ボランティアか」
「そう馬鹿にしないで。裕福だから考える余裕もあるんだわ」

>>Sequel to ....


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■ご案内。

漠然といきましょう。
順にめくる場合。


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緑色の坂の道 Classic
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主要参考文献
・「新フィリピン事情 崩壊と再生」 西田令一著 日中出版 1989
・「フィリピン新人民軍従軍記」 野村進著 晩聲社 1981
・「日本赤軍派 その社会学的物語」 パトリシア・スタインホフ著 木村由美子訳 河出書房新社 1991
・「対談 革命的左翼運動の総括 いま語っておくべきこと」 川島豪・塩見孝也著 新泉社 1990
・「灰とダイアモンド」 イェジイ・アンジェイェフスキ著 川上洸訳 旺文社文庫 1978
・「青年期境界例」成田義弘著 金剛出版 1989
・「ボーダーラインの心の病理ー不確実性に悩む人々ー」 町沢静夫著 創元社 1990

 
 
 
■ ラジオからパット・メセニーの曲が流れている。
 車は今にも分解しそうな音をさせ、一四〇で走っている。
 この小さな車ではこの辺りが限界だ。
 高速の繋ぎ目を乗り越える時の収まりが、フランスの味を残している。
 空港に向かう道は空いていた。空が赤くなってゆく。
 葉子は上海にいった。
 先日、何枚もの写真が送られてきたのだ。
 大きな川に沿っている公園で、沢山の人が沈む太陽を眺めていた。
 街の中心部には建設中のビルがいくつもあり、竹を組んで職人がその上を歩いていた。
 葉子は伸びた髪を上でまとめ、中国服を着て脚を組んでいる。
 随分大人びてみえる。
 私は事務所をやめた。
 入院していたことと、何かがはっきりしたような気がしたからだ。
 葉子の父は、「上海貿易公司」という会社をやっている。
 どんな男なのか知ってみたいという気分がある。
 彼の紹介で向こうの代理店に嘱託として暫く席を置くことにした。いつまでになるのかはわからない。主にドイツの企業相手の仕事になるのだと聞いている。細かい打ち合わせもあって、一度向こうに渡ることにしたのだ。
 自由化政策の影響で、上海は往年の活気を取り戻している。
 狭い部屋に大家族が住んでいて、早朝の公園は子供と老人達で一杯になるという。若夫婦のために、朝の時間を空けるのだ。
 
 私は車の速度をゆるめ、途中のパーキングに入った。
 自動販売機で煙草を買い、腰を屈めた。
 思いだしたこともあったが、かたちにならなかった。
 
 
「夜の魚」 完