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    ウナ・セラディ・東京 2.
 
 
 
■ 婚期という言葉がまだあった頃、やや片隅に引っかかった妙齢が歌っていたことがある。
 あれは何処だったか。北千住か西葛西か。
 地元の金融機関に勤めていた彼女には弟がいて、少し悪だった。
 せっかく学校にいかせたのに。
 と、彼女は言う。

 
    ウナ・セラディ・東京。
 
 
 
■ 私は皮ジャンを脱いだ。
 黒いプル・オーバーを着ている。
 下は撮影用の黒い下着である。
 PAでしばらく漠然として、それから曲を選んだ。

 
    無駄なことを。
 
 
 
■ 磨いたばかりのボンネットを、水滴が流れていく。
 無駄なことを。
 私もあなたも。

 
    今日はだいじょうぶ。
 
 
■ と言われ、ムゴーイ目にあった男性読者は多いだろう。
 男は信じやすい。
 あら、そんなことわたしは一度もいったことないわ。
 と、自覚なき美しい方々も今は横妻じゃね、人妻である。

 
    鳥の声。
 
 
 
■ K6の辺りにいた。
 廻りはコンビナートである。
 何故こんな風景に近づくのかわからないが、水蒸気なのだろう。
 白い煙のようなものが夜空に消えていく。
 本当は拡散されているだけかもしれない。

 
    女は人のために泣くことはない。
 
 
 
■ たまに走らせてやらないと、廻らない。
 踏んだり緩めたり、そうこうしていると背後の車がじれた。
 追い抜いて行く時に、赤灯を点けるのはどういう気持からなのだろう。

 
    Stairway to Heaven 3.
 
 
 
■ 底の薄い靴を履いてきた。
 時折ワイパーを使いながら、流れに従って走っていく。
 アクセルの匙加減が乱暴にならず、継ぎ目で滑る気配もない。

 
    Stairway to Heaven 2.
 
 
 
■ 10年なんてあっというまだ。
 ありふれた言い草だが、その通りかもしれない。
 ジミー・ペイジのギターはいいところで重い。
 まったく演歌の世界だよなとこれで200回は思った。

 
    Stairway to Heaven.
 
 
 
■ 薄い雨だった。
 目黒のトンネルをくぐって右折し、天現寺から高速に乗る。
 料金所に係員がいて、こちらを眺めて頭を下げた。
 私も軽く会釈する。
 比較的空いていて、東京タワーの辺りがかすんでいる。
 
 
 
■ いつも思うのだが、タワーの橙色というのはきれいだ。
 半ば雲か霧がかかっている時はよりそう見える。
 飛ばしている家族連れの車を先にいかせ、路面湿潤と書かれた電光掲示板をちらりと見た。

 
    幕末百話。
 
 
 
■ 流れで、そういうものを読んでいるわけである。
 この辺りの按配というのは、ある種気配のようで、実は震災と底の方でかかわりがある。
「仙台学 vol.11」の中で、確か高橋義夫さんが宮沢賢治と永井荷風、それと岡本綺堂のことに触れていて、作家的センスというのはこういうものだと思った。
 
 
 
■ 年表というものがないので困るのだが、つまり歴史的な事実と近代化の過程、そこにおける表現の形態というものはどこかで重なっている。
 荷風が本格的に江戸趣味に走ったのは、大逆事件もあっただろうが、実は関東大震災の後である。
 岡本綺堂がモダニズムと江戸とをバランスよく対比させた作品を発表したのもその頃だった。
 いわゆる怪談物の流行もしかりである。
 関東大震災の前後、例えば山頭火などはまだ何をしていたか分からず、路面電車の前に両手を広げた立ちふさがったことがあると資料にはある。

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